2012年7月4日水曜日

ニュースバリューを測る新単位「ジョリー」と「カーダシアン」

Measure The News Value of Your Issue Using "Jolie" and "Kardashian"

あなたの解決しようとしている問題やトピックは、人々の関心を十分に集められているでしょうか?人権や飢饉といった問題は、セレブリティのスキャンダルと比較すると全く報道されていない、と感じることも多いかもしれません。では、どれくらい人々の注目をあつめたら、食糧危機への援助金を増やせるのでしょうか。


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上記のグラフはEthan ZuckermanがブログAn idea worth at least 40 nanoKardashians of your attentionで示したもの。ツイッターでのつぶやきや離婚報道などで話題のハリウッドセレブのKim Kardashian(グラフ青線)と、女優のアンジェリーナ・ジョリー(グラフ赤線)に関するウェブ上の情報量をGoogle Insightを使って表したものです。さらに、「飢饉famine」(オレンジ線)をクエリに追加するとどうでしょう―「飢饉」についての検索数は圧倒的に少なく、カーダシアンやジョリーと比較してほぼゼロに近いということがわかります。

そもそもどうしてアンジェリーナ・ジョリーやキム・カーダシアンと比較するかというと、理由があります。UNHCR親善大使を務めるアンジェリーナ・ジョリーは、これまでスーダンやチャドを訪問するなどして熱心にダルフール難民について取り組んでおり、彼女が「グローバル人道賞」を受賞した2005年、国際救援委員会はダルフールに対する援助はひとりあたり300㌦であったと発表している。(これに対し当時のコンゴ民主共和国の援助は一人当たり11㌦)。つまりアンジェリーナ・ジョリー分の関心をダルフール難民に注ぐことができた結果、援助金が27倍になっていると考えることもできるということです。(これらの数字については、Ethanのブログからの抜粋です。)

そこでジョリーよりもさらにインターネット上で話題となっているキム・カーダシアンを単位として社会的な問題のトレンド性を比較すると、40ナノカーダシアンの人々の関心を集めることができれば、それなりの影響力をもって社会を変えることができるのではないか、という試算です。

2002年、多摩川に現れたあごひげアザラシ「タマちゃん」について連日ニュースで大々的に報道されるなか、「有事法制」が十分に放送されぬままスルっと通ったということがありましたが、かつてアメリカでプレイメイトのAnna Nicole Smithが急死したときも、他の政策に関するニュースを差し置いて、彼女の死に関するゴシップがヘッドラインを飾り続ける、ということがありました。参照:Talk Hosts Feed the Anna Nicole Frenzy | Project for Excellence in Journalism (PEJ)

「何が問題か」、「何がニュースか」ということが世論をコントロールするわけですから、いかにひとびとにそのトピックを知らせるかということが第一歩です。そこでEthanは、 "Once we refine this methodology, I hope we can calculate exactly which celebrity needs to be deployed to address which global crisis " 「この方法を精緻化できれば、どのセレブにグローバル危機について取り組んでもらうべきか計算できる」としています。